ある日曜日。私服の高校生と思われるカップルがマッサージチェア売り場にやってきた。品のいい若者(男)と、しっかりもののお姉さんという感じの2人だ。昼前後だったと思う。
この2人、私ら販売員に「来ないでオーラ」を出して牽制しつつ、マッサージ椅子を物色しマサージを始めた。ここまでは普通である。
恍惚の表情でもなく、素の表情でもない、微妙に難しい顔をしながらマッサージを終えた。
若いのに真剣にマッサージを受ける場違い感全開の2人は帰ろうとせず別なマッサージ椅子を選び乗り始めた。
育ちの良い私はボス婆に話しかけた。「何ですかね?なんでそんなに疲れてんですかね」
ボス婆「男と女が疲れてんだから、何して来たか決まってんじゃない」とニタリ。あんた馬鹿なのという顔で俺に言う。
俺:「え!マッサージ椅子に2回も乗るほど腰使ったんですかね?」
婆:「若いんだからいくらでもしたいんでしょうよ」ニヤニヤ全開である。
やがて2回めのマッサージが終わると、こちらを無視しつつ3回めのマッサージを開始した。
俺:「大丈夫スかね、余計腰痛くなるんじゃないですかね?」
婆:「よっぽど腰使ったんでしょう」更にニヤニヤ全開である。
マッサージはやりすぎてはいけない。もみや叩きが少しづつ細胞を壊すからだが、少しの揉みなら新陳代謝を早める程度の話だが、やり過ぎるともみ返しが起こってしまう。もみ返しとは細胞が限度を超えて死滅し、再生が間に合わず、細胞の死骸が不快な刺激となっている状態である。と思う。
そんな心配をしてるうちに、3セット目が終わり、若い二人は椅子から立ち上がって歩き出した。
その時女の子が腰をさすりさすり、伸ばしたり縮めたりして歩き出したのを見て、中高年男女二人組(俺と婆の事)は「やっぱり腰が痛いんだ!!」ククククと顔を見合わせて声を立てないで笑いあったのであった。
女の子は腰をどれほどグラインドさせたのかと思うと、生命の種の保存のエネルギーの偉大さに思いを致し、グラインドを映像として想像してしまう私であった。
ガックンガックン。
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