ARMからライセンスを受け、CPUや組み込みチップを開発・製造している主要な大企業について、日本、アメリカ、台湾、韓国の4カ国・地域の代表的な企業とその情報を提供します。
記載している売上高は、企業全体の最新の年次または直近の決算に基づいています。製品名には、ARMアーキテクチャを採用している代表的な製品シリーズを含みます。
| 国/地域 | 企業名 (英語名) | 製品名 (ARMベース) | 2024年 (または直近) 売上高 (概算) | 株式コード |
| 日本 | ルネサス エレクトロニクス (Renesas Electronics) | RZファミリー (MPU), RX/RL78/RH850ファミリー (MCU等) | 1兆4,697億円 (2023年12月期) | 6723 (東証プライム) |
| アメリカ | クアルコム (Qualcomm) | Snapdragon (モバイルSoC) | 389億6,200万ドル (2024年9月期) | QCOM (NASDAQ) |
| アメリカ | エヌビディア (NVIDIA) | Grace (データセンターCPU), Tegra (SoC) | 797億7,400万ドル (2025年1月期) | NVDA (NASDAQ) |
| アメリカ | アップル (Apple) | Aシリーズ (iPhone/iPad向け), Mシリーズ (Mac向け) | 3910.4億ドル (2024年9月期) | AAPL (NASDAQ) |
| 台湾 | メディアテック (MediaTek) | Dimensity (モバイルSoC), Helio (モバイルSoC) | 5,551億台湾ドル (2023年12月期) | 2454 (台湾証券取引所) |
| 台湾 | TSMC (Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.) | (多数の顧客のARMベースチップを製造) | 693億ドル (2023年12月期) | 2330 (台湾証券取引所), TSM (NYSE-ADR) |
| 韓国 | サムスン電子 (Samsung Electronics) | Exynos (モバイルSoC), カスタムコア (自社開発) | 258兆9,355億ウォン (2023年12月期) | 005930 (韓国取引所) |
企業ごとの補足情報
🇯🇵 日本
- ルネサス エレクトロニクス:主に車載、産業機器、インフラ、IoT向けのマイコン (MCU) やマイクロプロセッサ (MPU) を提供しています。ARMのCortex-A/R/Mコアを幅広く採用しています。
🇺🇸 アメリカ
- クアルコム (Qualcomm):スマートフォン向けSoC(System-on-Chip)の分野で世界的に有名で、ほとんどの製品にARMアーキテクチャのCPUコアを採用しています。
- エヌビディア (NVIDIA):元々はGPUで知られていますが、データセンター向けCPU「Grace」や、車載・組み込み向けの「Tegra」シリーズでARMを採用しています。
- アップル (Apple):ARMの命令セットアーキテクチャ (ISA) をベースに、自社でCPUコアを設計しています。iPhoneやiPad向けの「Aシリーズ」や、Mac向けの「Mシリーズ」は、ARMアーキテクチャを高性能化させた代表例です。
🇹🇼 台湾
- メディアテック (MediaTek):スマートフォンやスマートデバイス向けのSoCを設計・販売しており、Dimensityシリーズは高性能モバイルチップとして知られています。
- TSMC:ARMからライセンスを受けている設計企業(ファブレス)ではありませんが、上記に挙げたアップル、NVIDIA、クアルコムなどの多くのARMベースのチップを世界最高水準の技術で受託製造(ファウンドリ)しているため、ARMエコシステムにおいて極めて重要な役割を担っています。
🇰🇷 韓国
- サムスン電子 (Samsung Electronics):半導体部門(DS)で、スマートフォン向けのSoC「Exynos」を開発しています。また、世界有数のメモリ半導体メーカーであり、TSMCと同様にファウンドリ事業も行っています。かつては自社設計のカスタムARMコアを採用していましたが、現在はARMの標準コア(Cortex)をベースにしています。
第2グループ
ARMからライセンスを受けてCPUや組み込みチップを開発・製造している、前回ご紹介した主要企業に次ぐ規模の、日本、アメリカ、台湾、韓国の企業をさらにご紹介します。
以下の企業は、組み込みシステム、ネットワーク機器、PC周辺機器、自動車など、特定の分野でARMアーキテクチャを活用したチップを設計・販売している主要なプレーヤーです。
| 国/地域 | 企業名 (英語名) | 製品名 (ARMベース) | 2024年 (または直近) 売上高 (概算) | 株式コード |
| 日本 | ソニーグループ (Sony Group) | SoC (イメージセンサー信号処理用など) | 1兆7,700億円 (I&SS部門 2024年度予想) | 6758 (東証プライム) |
| 日本 | 東芝 (Toshiba / Device & Storage) | TXZファミリー (車載・産業機器向けMCU) | 2兆9,045億円 (東芝全体 2023年度) | 6502 (東証プライム) |
| アメリカ | ブロードコム (Broadcom Inc.) | StrataXGS, Trident (ネットワークASIC/SoC) | 358億ドル (2023年10月期) | AVGO (NASDAQ) |
| アメリカ | マーベル・テクノロジー (Marvell Technology) | OCTEON, LiquidIO (クラウド・インフラSoC) | 55億8,200万ドル (2024年1月期) | MRVL (NASDAQ) |
| 台湾 | リアルテック (Realtek Semiconductor) | RTLxxxx (PC/IoT/通信向けSoC) | 951.7億台湾ドル (2023年12月期) | 2379 (台湾証券取引所) |
| 台湾 | ノバテック (Novatek Microelectronics) | SoC (ディスプレイ・ドライバーIC、テレビ向け) | 908.4億台湾ドル (2023年12月期) | 3034 (台湾証券取引所) |
| 韓国 | LGエレクトロニクス (LG Electronics) | LSIチップ (家電、車載向け) | 866.8億シンガポールドル (LG全体 2024年予想) | 066570 (韓国取引所) |
企業ごとの補足情報
🇯🇵 日本
- ソニーグループ: 半導体部門(I&SS:イメージング&センシングソリューション)において、世界トップシェアのイメージセンサーを支える信号処理用SoCなどでARMコアを利用しています。
- 東芝 (デバイス&ストレージ): 車載や産業機器向けのマイコン(MCU)であるTXZファミリーなどでARM Cortex-M/Rコアを幅広く採用しています。売上高は東芝グループ全体の数値であり、半導体部門のみではありません。
🇺🇸 アメリカ
- ブロードコム: ネットワーク機器、ブロードバンド、無線通信向けの高性能なASICやSoCを提供しており、これらの内部にARM CPUコアを組み込んでいます。特にデータセンターやAI分野でのカスタムASICの設計に強みがあります。
- マーベル・テクノロジー: クラウド、ネットワーク、自動車向けなどのインフラストラクチャ半導体に特化しており、高性能なSoC製品(OCTEONなど)でARMコアを核として採用しています。
🇹🇼 台湾
- リアルテック: PCやネットワーク機器、マルチメディア製品向けのチップを幅広く提供する大手企業です。Wi-Fi、Bluetooth、EthernetコントローラーなどのSoC製品でARMコアを使用しています。
- ノバテック: ディスプレイ・ドライバーIC(DDIC)の世界大手ですが、テレビや監視カメラなどの組み込み機器向けSoCも開発しており、こちらでARMコアを採用しています。
🇰🇷 韓国
- LGエレクトロニクス: 主に自社の家電製品や、成長著しい車載部品事業(VS部門)向けに、独自のLSIチップを開発しており、これらのカスタムSoCにARMコアが使われています。売上高はLGエレクトロニクス全体の数値です。
さらに
これまでに紹介した企業(日本:ルネサス、ソニー、東芝、ソシオネクスト。アメリカ:クアルコム、NVIDIA、アップル、ブロードコム、マーベル)に続いて、ARMからライセンスを受けてCPUや組み込みチップを開発・製造している、さらに規模の大きな企業を、日本とアメリカに絞ってご紹介します。
これらの企業は、特に産業機器、車載、通信インフラ、IoT分野において、ARMアーキテクチャの組み込みチップで世界的に重要な地位を占めています。
| 国/地域 | 企業名 (英語名) | 製品名 (ARMベース) | 2024年 (または直近) 売上高 (概算) | 株式コード |
| 日本 | ソシオネクスト (Socionext Inc.) | カスタムSoC / ASSP (データセンター、車載、スマートデバイス向け) | 1,885億3,500万円 (2024年3月期) | 6526 (東証プライム) |
| アメリカ | テキサス・インスツルメンツ (Texas Instruments) | Sitara (MPU), C2000/MSP432 (MCUの一部) | 156億ドル (2024年12月期) | TXN (NASDAQ) |
| アメリカ | マイクロチップ・テクノロジー (Microchip Technology) | SAM / PIC32 (MCU/MPU) | 84億ドル (2024年3月期予想) | MCHP (NASDAQ) |
企業ごとの補足情報
🇯🇵 日本
- ソシオネクスト:
- 富士通とパナソニックのシステムLSI事業を統合して誕生したファブレス(工場を持たない)半導体ベンダーです。
- 顧客の要求に応じて設計するカスタムSoC(System-on-Chip)と、特定の用途に特化した汎用チップ(ASSP)の開発が主力です。高性能なARM Cortex-A/R/Mコアを幅広く利用し、データセンター、車載、スマートデバイス分野向けに提供しています。
🇺🇸 アメリカ
- テキサス・インスツルメンツ (TI):
- アナログ半導体と組み込みプロセッサの世界的リーダーです。
- 組み込みプロセッサ分野では、アプリケーション・プロセッサのSitaraファミリー(ARM Cortex-Aコア)や、一部の高性能なマイコン(MCU)でARMコアを採用しています。産業機器や車載向けに強いです。
- マイクロチップ・テクノロジー:
- 組み込み制御用半導体の最大手の一つです。
- 買収したAtmelの製品ラインを引き継いだSAMファミリーや、従来のPICマイコンの高性能シリーズであるPIC32ファミリーの一部にARM Cortex-Mコアを採用しており、幅広い組み込みシステムに対応しています。