マッサージチェアの販売員として売り場に立っているので、当然様々なお客様と接する。結論を言えばとても面白い。
しかし中には、びっくりするような人もいる。
能面の瞬間沸騰バイオレンス妻
半ケツのパンツを履いた年齢不詳で顔が病的にどす黒い男がマッサージ椅子に座った。他社の椅子なので声はかけなかった。
そこに子供3人と、能面の痩せぎすの女がやってきた、旦那に声をかけて中断させたようだ。やらせてあげればいいものを。
すると子供が「これ買うの」といい、女が「買わないよ」。子供「買おうよ買おうよ」。ここまでは毎日見られる普通のやりとり。
女「じゃあ自分で買えよ」と言って手に持っていた上着を子供の顔に投げつけたのだ。一緒に見ていたボスおばちゃんは「うわっ」と息を飲み、体を反転させてオイラと顔を見合わせた。見つめ合ったのではない。驚愕の確認をし合ったのだ。おばちゃん「おっどっろっいったー」と小声。
一家が去った後オイラも「うわークソですね、クソですね、信じられないクソ女ですね」。息子の、何でも「クソ」が少し伝染しているらしい。
あんな女と生活したら血行不良で顔がどす黒くなるに決まっている。血液循環のためにマッサージ椅子に座ったのは正解だが、一人でこなくてはいけない。
少し寒気がした能面女の話でした。
戦後日本を支えた男(の1人)
同じ日の少し後、夫婦で高額機種から低価格機種まで手当たり次第に少しずつ試している夫婦。
旦那がマッサージ椅子ではない2万円の”マッサージ器”に座っているところで目が合ったので声をかけた。
私:「こちらの機種は在庫がなく、入荷の予定も立っていないんです」
男:「そうか在庫がないか」「これでも悪くないかなー」
ここは基本のYes.butで「そうですね・肩はよくもんでくれますよね」「でも在庫がないんですよね」
男:「おれ仕事中高いとこから落ちて頸骨を痛めて後遺症が有るんだよね」
私:「それでしたらこのマッサージャーでは強くこねすぎで少し心配ですね」「在庫もないですし、向こうのマッサージ椅子で試してみますか、安いのに全部備えたとても良いのが有りますよ」これである
他社製だが13万+消費税で本当に一通りの機能は全部備えたコストパフォーマンス最高の機種があるのだ。
自社製の低価格機種はさっき乗って首をひねっていたので押しても駄目そうだ。そういう時は他社製でも売るのが(お店の)ヘルパーであろう。
そこを奥さんも来たので「同じのが2台有りますからご一緒にどうぞ」。「まず足を揉む部分を出します。使わない時は電動で収納できるんですよ(ニコニコ顔で)」
そしてマッサージを始めながら聞いた話では「仕事で疲れるし昔痛めたた首が痛い、でもお金はそんなに無い」「高い機械は贅沢だよな」
キターーー言ってみたいセリフが有ったのだ
俺:あえて砕けて「旦那さん、何を言ってるんですか、戦後の日本を背負って一生懸命働いて怪我までしたんですよ。少しは自分へのご褒美にこれくらいのものは買ってください」
男:満面の笑み「そうかな?そうかな」嬉しそう。
ここでダメ押し「しかもね、旦那さん、奥さんだっておんなじですよ。女性は家事だけでも足も腰も鬱血するんですよ、きついのはみんな一緒ですよ。2人で苦労してきた分癒やされてください」
男:「そうだよな、ご褒美だよな。ホントだ!」
俺:心の声「(決まった)」
男:「2ヶ月あればこのぐらい貯められるから、そのころ買いに来るよ」
女:「そうだね、そうだね」
俺:心の声「(だめだこりゃ)」
ボスおばさんが後で訊いてきた「さっきの夫婦接客ありがとね、どうだった」
俺:「2ヶ月でお金作って買いに来るって言ってました。」
婆:「そう」・・おばさんはそれで全部解るのだ。俺の心意気と頑張り、夫婦の苦労と貧乏、でも買いに来る可能性は相当低いこと。
俺:「でもね、あの2人に黄金のフレーズを使いましたよ」
俺:「戦後から一生懸命働いてきた自分へのご褒美だって言ってあげましたよ」
婆:「あら、偉いわね。でも本当にそうよ、働き詰めで来て、あんな物ぐらい誰にも遠慮しないで使って欲しいもんだわ、当然の権利よ」
そしてなんとここからおばさんの生い立ちから今への苦労話が始まったのだ。ま、面白かったけど。
そしてさらに自分が死んだ後の遺産争いの心配の話まで発展したのであった。店は暇だったのだ。
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