近頃、マッサージチェアの販売は全体的に低調である。各メーカー販売が伸び悩み苦しんでいるらしい。
私がお世話になっているメーカーでも、新商品の積極的開発や、販売・業務プロセスの見直しを行い、販売のテコ入れをしているらしい。このこと自体は企業として当然のことである。
また、このメーカーに限らず業務改善・業務品質向上の施策として、販売員のコストパフォーマンスが悪い人はお引取り頂いて新人に入れ替えるということを常に行っている。
聞こえはいいのだが、結論を言えば教育の手間を掛けずにいい人が見つかるまで何人でも入れ替えるということだ。受け入れ企業(=メーカー)にとっては手間が掛からず効果が期待できる仕組みと映る。
しかしである、最後にお金を払うメーカーがすべての経費を負担するということを忘れている。あるいは漠然としか理解していないかだ。
下手な鉄砲も数うちゃ当たる式の募集経費がどれほど無駄か分かっているのだろうか?新人を店に配置して最低限の業務が行えるようになるまでの周りの手間や経費がカウントされていない。
この強引なプロセスの中で迷惑を被るのは、取り敢えず採用されて派遣される人であり、難しいと思いつつ派遣せざるを得ない派遣会社であり、メーカーの営業担当者であり、店舗の担当者・関係者、そして何よりお客様に負担が掛かっているのだ。
でもしかし、資質に問題があると判明したらお引取り願わねば、それこそお客様に迷惑ではないかとの反論があるでしょう。
大事なことを忘れている。教育である。マニュアルによって業務品質のベースアップが不十分であるのでは、人を何人入れ替えても理想の人が定着する状況はこないのではないでしょうか?ノウハウの継承をしなければ蓄積した努力はすべて無駄になっているのではないだろうか。派遣の便利さに思考停止になっていないかどうか、販売員調達責任者はもう一度考え直してはいかがだろうか。
メーカ側にも反論があるだろう。1ヵ月か2ヶ月に1回開催される「研修会議」を開いて、教育を行っていると。
個人的感想だが、この研修会議がビミョーだ。なにか時代錯誤な全体集会である。社員がマイクを持って音声が割れるほどの大声で、「こうしゃべってこう揉んで売ってください!一台でも多く売ってください!」と言うわけだ。実際には色々言うが最後は売れ売れである。
何が違和感かというと、売るための新しい情報やノウハウや指導は期待するほど多くなく、販売の気合注入を繰り返すという印象だ。
販売促進の情報として販売員が欲しいのは、どのようなお客様に対して、新機種を含めてどの機種のどのコースでどの様に揉んであげればいいかという、お客様の困りごとに対するソリューションなのだ。
一方、メーカーとしては、「販売員が自己責任で、マッサージチェアの機種やコースそれぞれを何度も体感し、いつでもどのようにでも説明できるようにしておくのが勤めだ」、と言うかもしれません。至極尤もです。
しかし、主要な機器が4~5種類とそれぞれ揉みコースが5種類以上として、20~30コース程度を体に覚え込ませるには、百回や二百回の試乗では足りません。1回15分として膨大な時間や日数を必要とします。
そんなことは可能でしょうか?なかなか出来ません。特に私のようなWワークの販売員は、主要な機器の主だったコースを覚えるのが精一杯です。
マッサージ内容もろくに覚えられないなら首でしょうか?。・・・ですからそれがもったいないと思うわけです。
ではどうしたらいいか。
まずは個々に対して教育を行い、足りない部分があれば指導するという、育成に手間をかけるしか無いではないですか。
別にマンツーマンで教えてくれと言うわけではない。業務内容をメモしていけばマニュアルになる。達人の話をメモしておけばノウハウの継承が出来る。それを伝えればよいのである。
つまり、内側に持っているものを伝える手段を構築すればいいのだ。各社販売員の育成のノウハウなど、本にしたら膨大な厚みになるほど持っているはずである。
極端な話どっかにホームページ1個用意して、それらのマニュアルやノウハウを公開しておけばいいだけの話である。内部の人に片手間でやってもらえばイニシャルコストはあまりかからない。
ところで、スキルやノウハウがない人間に売れとプレッシャーだけを与えて売り場に立たせたら、彼らは客の前で何をするでしょうか?「素晴らしいマッサージチェアなので買ってください」と言うだけに決まっている。焦ってべらべら商品のお題目をしゃべり続ける。最初は仕方が無いが、ずっとそれでは売れない。
客は内心嫌になりながら「へーすごいですね、これっていくらぐらいするんですか」「カタログもらっていきます。家で相談して今度また来ます」と言うわけだが、こういう言い方の人が買いに来たためしはあまり無い。試乗にも来なくなる。
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